味噌汁1杯の塩分は約1.2g|種類別比較と減塩のコツを醸造の視点で解説

味噌汁1杯の塩分は約1.2g|種類別比較と減塩のコツを醸造の視点で解説 味噌

最終更新: 2026-07-11

厚生労働省「国民健康・栄養調査」(令和5年)によると、日本人の1日あたりの食塩摂取量は平均9.8gで、目標値である男性7.5g未満・女性6.5g未満をいまだ大きく上回っています(出典: e-Stat 統計表ID: 0003224922ほか)。そんな数字を目にすると、毎日の味噌汁が塩分の元凶のように思えてくるかもしれません。「味噌汁は塩分が高いから控えたほうがいい」と言われて、湯気の立つお椀を前に少し後ろめたさを感じた経験はないでしょうか。しかし結論からお伝えすると、味噌汁1杯の塩分は約1.2g。1日の食塩摂取量全体から見れば決して大きな割合ではなく、日本高血圧学会で発表された研究では、味噌汁の摂取頻度と血圧に関連は認められていません。この記事では、味噌汁1杯の塩分量の正確な数値と自分で計算できる式、味噌の種類別の塩分比較、そして蔵の仕込みにおいて塩が果たす役割という醸造の視点まで、順を追って丁寧に解説します。読み終える頃には、数字の根拠を持って安心して味噌汁と付き合えるようになるはずです。

味噌汁1杯の塩分は約1.2g|まずは結論と計算式

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最初に結論からお伝えします。一般的な味噌汁1杯(出来上がり150ml、味噌10g使用)に含まれる食塩相当量は約1.2gです。味噌を多めに溶く家庭や、お椀が大きい場合でも、おおむね1.0〜1.5gの範囲に収まります。

この数値の根拠を確認しておきましょう。文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、家庭で最も広く使われている米みそ(淡色辛みそ)の食塩相当量は100gあたり12.4gです。味噌汁1杯に使う味噌は10〜12g(大さじ1弱)が目安ですから、10gなら約1.2g、12gなら約1.5gの塩分になる計算です。

味噌の使用量別 塩分早見表

味噌の量 目安 食塩相当量(淡色辛みそ)
6g 小さじ1 約0.7g
10g 味噌汁1杯の標準量 約1.2g
12g やや濃いめの1杯 約1.5g
18g 大さじ1 約2.2g

出典: 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに換算(2026年7月時点)

味噌の計量に慣れていない方は、まず大さじ1が18gという基準を覚えておくと便利です。詳しい換算は味噌大さじ1の重さと塩分を解説した記事にまとめています。

自分の味噌汁の塩分を計算する式

家庭の味噌汁の塩分は、次の式で誰でも計算できます。

塩分量(g)= 味噌の使用量(g)×(味噌の食塩相当量 ÷ 100)

たとえば赤色辛みそ(食塩相当量13.0g/100g)を12g使ったなら、12 × 0.13 = 約1.6gです。さらに出来上がり量で割れば塩分濃度も出せます。150mlの味噌汁に1.2gの塩分なら濃度は約0.8%。実はこの0.8〜1.0%という濃度は、人間の体液の塩分濃度(約0.9%)に近く、多くの人が「ちょうどよい」と感じる濃さと重なります。味噌汁の味が決まらないときは、この濃度を目安に味噌の量を逆算するとぶれません。

味噌の種類別 塩分比較|甘みそなら半分以下になる

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味噌汁の塩分は、どの味噌を選ぶかで大きく変わります。日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとに、種類別の食塩相当量を比較してみましょう。

味噌の種類 食塩相当量(100gあたり) 味噌10gあたり 大さじ1(18g)あたり
米みそ 甘みそ(白味噌など) 6.1g 約0.6g 約1.1g
麦みそ 10.7g 約1.1g 約1.9g
豆みそ(八丁味噌など) 10.9g 約1.1g 約2.0g
米みそ 淡色辛みそ 12.4g 約1.2g 約2.2g
米みそ 赤色辛みそ 13.0g 約1.3g 約2.3g
減塩みそ 10.7g 約1.1g 約1.9g

出典: 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(2026年7月時点)

この表からは、蔵の仕込み設計がそのまま数字に表れていることが読み取れます。注目すべきポイントは3つあります。

第一に、京都の白味噌に代表される甘みそは、淡色辛みその半分以下の塩分しかありません。甘みそは麹の割合を高くして塩を少なく仕込み、短期間で熟成させる味噌です。塩分を抑えたい方にとって、甘みそを使った味噌汁は理にかなった選択といえます。

第二に、意外にも豆みそ(八丁味噌など)は色が濃いわりに塩分は淡色辛みそより低めです。「色が濃い味噌=塩辛い」というイメージは必ずしも正しくありません。味噌の色は塩分ではなく、熟成中のメイラード反応(アミノ酸と糖の褐変反応)の進み具合で決まるためです。

第三に、減塩みそと麦みそ・豆みそは実は同水準です。減塩タイプをわざわざ選ばなくても、麦みそや豆みそ、甘みそを取り入れることで自然に塩分を抑えられます。種類ごとの塩分の違いについては、味噌の塩分を種類別に比較した記事でさらに詳しく掘り下げています。

1日の塩分目標量と味噌汁|1杯なら心配しすぎなくてよい理由

味噌汁1杯の約1.2gという塩分は、1日の食生活の中でどう位置づければよいのでしょうか。基準となる数値を整理します。

基準 1日あたりの食塩目標量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」成人男性 7.5g未満
同 成人女性 6.5g未満
日本高血圧学会(高血圧患者の減塩目標) 6g未満
WHO(世界保健機関) 5g未満
日本人の実際の平均摂取量(令和5年 国民健康・栄養調査) 9.8g(男性10.7g、女性9.1g)

味噌汁1杯の1.2gは、男性の目標量7.5gの約16%にすぎません。日本人の食塩摂取源として大きいのはむしろ、調味料としてかける・つける醤油や、加工食品・麺類の汁に含まれる塩分です。たとえば醤油大さじ1には約2.6gと、味噌汁2杯分を超える塩分が含まれます。醤油の塩分については醤油大さじ1の重さと塩分を解説した記事をご覧ください。

さらに、味噌汁と血圧の関係については興味深い研究があります。第36回日本高血圧学会総会(2013年)で発表された共立女子大学・上原誉志夫教授の研究では、人間ドック受診者を対象とした調査の結果、味噌汁の摂取頻度と血圧の間に有意な関連は認められませんでした。味噌には大豆由来のペプチドなど血圧上昇を抑える方向に働く成分が含まれることが報告されており、「味噌汁=血圧の敵」という単純な図式は、少なくとも研究データからは支持されていません。

もちろん、これは「何杯飲んでも自由」という意味ではありません。腎臓疾患や高血圧で医師から減塩指導を受けている方は、指示された塩分量の枠内で味噌汁を組み込む必要があります。大切なのは、漠然と怖がるのではなく、1杯約1.2gという数字を知ったうえで1日全体の塩分を設計することです。

なお、日本人の食塩摂取量は長期的には着実に減っています。国民健康・栄養調査の年次推移を見ると、令和元年(2019年)の平均10.1gから令和5年(2023年)には9.8gまで低下しました(出典: e-Stat 統計表ID: 0003224922、厚生労働省「国民健康・栄養調査」)。減塩の意識が浸透する中でも味噌汁が食卓に残り続けているのは、単なる習慣ではなく、それだけの価値がある一杯だからだと私たちは考えています。

なぜ味噌に塩が欠かせないのか|醸造の視点で読み解く

ここからは、レシピサイトではほとんど語られない「そもそもなぜ味噌はしょっぱいのか」を、醸造の視点から見ていきましょう。蔵人にとって塩は、単なる味付けではなく発酵を設計するための道具です。

味噌の仕込みでは、蒸した大豆と米麹に対して、重量比でおよそ10〜13%の塩を加えます。この塩には大きく3つの役割があります。

第一の役割は、雑菌から仕込みを守ることです。塩分濃度10%を超える環境では、腐敗の原因となる多くの微生物が繁殖できません。冷蔵庫のない時代から味噌が常温で1年、2年と熟成できたのは、塩が天然の防壁として働いてきたからです。

第二の役割は、働く微生物を選抜することです。高い塩分の中でも活動できるのは、耐塩性を持つ限られた微生物だけです。味噌の香りを生む耐塩性酵母や、味に深みを与える耐塩性乳酸菌は、この塩の環境をくぐり抜けて生き残った選ばれた働き手です。つまり塩は、蔵の中で「誰に働いてもらうか」を決める選抜装置の役割を果たしています。

第三の役割は、発酵の速度を制御することです。塩分が高いほど微生物の活動は穏やかになり、熟成はゆっくり進みます。1年以上かけて熟成させる辛口味噌には塩をしっかり効かせ、数週間から数か月で仕上げる甘みそは塩を控えて麹を贅沢に使う。塩の量は、蔵人が熟成期間から逆算して決める設計図の一部なのです。

こうして見ると、味噌の塩分は「余計なもの」ではなく、発酵という営みを成立させるための必然だとわかります。塩を極端に減らした味噌が造りにくいのは、防壁と選抜と速度調整の仕組みが同時に崩れてしまうからです。市販の減塩みそは、加熱処理や保存技術でこの弱点を補って商品化されています。手作り味噌でカビに悩んだ経験のある方なら、塩の防壁としての力を実感を持って理解いただけるはずです。仕込みの塩分設計については味噌と麹の割合を解説した記事も参考になります。

味噌汁の塩分を無理なく抑える5つのコツ

数字の裏付けを押さえたところで、それでも塩分を抑えたいという方のために、味噌汁のおいしさを損なわずに減塩する実践的なコツを5つ紹介します。編集部でも実際に計量スプーンとはかりを使って試しましたが、いちばん効果を実感したのは1つ目の「だしを濃くとる」ことでした。だしがしっかり効いていると、味噌を2割減らしても物足りなさをほとんど感じません。

1. だしを濃くとる

うま味は塩味の物足りなさを補う最も強力な味方です。かつお節や昆布、煮干しでだしをしっかりとると、味噌の量を1〜2割減らしても満足感のある味に仕上がります。逆にだしが薄いと、つい味噌を足して塩分が増えます。減塩の第一歩は味噌ではなくだしの見直しです。

2. 具だくさんにして汁の量を減らす

塩分は汁に溶けているため、同じお椀でも具の割合が増えれば飲む汁の量が減り、摂取する塩分も減ります。野菜やきのこ、いも類をたっぷり入れた具だくさん味噌汁は、減塩と栄養補給を同時にかなえる方法です。具材選びは味噌汁の具材おすすめを紹介した記事で詳しく解説しています。

3. カリウムの多い具材を選ぶ

ほうれん草、わかめ、いも類、大根などに多く含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウムを尿として排出しやすくする働きがあります。汁ごといただく味噌汁は、溶け出したカリウムまで摂れる合理的な料理です。腎機能に問題がありカリウム制限を受けている方を除けば、積極的に取り入れたい工夫です。

4. 塩分の低い味噌を選ぶ・合わせる

前述の比較表のとおり、甘みそは淡色辛みその半分以下の塩分です。いつもの味噌に甘みそを半量ブレンドするだけでも塩分を2〜3割カットできます。風味の変化も楽しめるため、減塩を我慢ではなく味の探求に変えられるのがこの方法の良いところです。

5. 1日の中で「枠」を決める

味噌汁だけを目の敵にするのではなく、1日の食塩摂取量全体で考えることが大切です。味噌汁1杯1.2gを楽しむ日は、麺類の汁を残す、醤油はかけずに小皿につける、といった調整で全体を目標内に収める。この「枠の設計」こそが、長続きする減塩の本質です。

味噌汁の塩分に関するよくある質問

Q1. 味噌汁1杯の塩分は何グラムですか?

出来上がり150ml、味噌10g使用の標準的な1杯で約1.2gです。味噌の種類や濃さによって1.0〜1.5g程度の幅があります。使う味噌の食塩相当量(パッケージの栄養成分表示に記載)と使用量がわかれば、味噌の量(g)×食塩相当量(%)で正確に計算できます。

Q2. 味噌汁は1日何杯まで飲んでいいですか?

健康な方であれば、1日1〜2杯は問題ない範囲と考えられます。1日2杯で塩分約2.4gとなり、男性の目標量7.5g未満に対して3分の1程度です。日本高血圧学会で発表された研究でも味噌汁の摂取頻度と血圧に関連は認められていません。ただし医師から減塩指導を受けている方は、指示された塩分量の範囲内で調整してください。

Q3. 減塩みそと白味噌(甘みそ)はどちらが塩分が低いですか?

甘みそのほうが低い場合が多いです。日本食品標準成分表2020年版(八訂)では、減塩みその食塩相当量が100gあたり10.7gに対し、米みそ甘みそは6.1gと半分近い水準です。減塩タイプにこだわらなくても、甘みそや麦みそを選ぶことで自然に塩分を抑えられます。

Q4. インスタント味噌汁の塩分は手作りより高いですか?

商品によりますが、一般的なインスタント味噌汁は1食あたり1.5〜2.3g程度と、手作りの標準的な1杯(約1.2g)よりやや高めの傾向があります。購入時はパッケージの栄養成分表示で食塩相当量を確認しましょう。最近は1食1g前後の減塩タイプも増えています。

Q5. 味噌汁の塩分濃度は何パーセントがおいしいですか?

0.8〜1.0%が目安です。これは人間の体液の塩分濃度(約0.9%)に近く、多くの人がちょうどよいと感じる濃さです。150mlのお椀なら塩分1.2〜1.5gに相当します。だしをしっかりとれば、0.7%程度まで下げても満足感のある味に仕上がります。

Q6. 味噌の塩分は発酵で減りますか?

熟成中に塩分そのものが分解されて減ることはありません。ただし熟成が進むとアミノ酸などのうま味成分が増え、塩味の角が取れてまろやかに感じられるようになります。これを蔵人は「塩なれ」と呼びます。長期熟成味噌が塩分のわりに塩辛く感じないのはこのためです。

関連記事: 大根の味噌汁の作り方|切り方・下茹で・味噌の合わせ方を醸造の視点で解説

関連記事: 味噌煮込みうどんの作り方|豆味噌の選び方と本場の味を醸造の視点で解説

まとめ|数字を知れば味噌汁はもっと楽しめる

味噌汁1杯の塩分は約1.2g。1日の目標量に対して決して大きな数字ではなく、味噌汁の摂取頻度と血圧に関連は認められないという研究報告もあります。種類の選び方(甘みそ・麦みそ)、だしと具材の工夫、1日全体での枠の設計を組み合わせれば、減塩と味噌汁のある食卓は十分に両立できます。

そして味噌の塩分は、雑菌を防ぎ、微生物を選抜し、発酵の速度を整えるという、醸造に欠かせない役割を担った必然の存在です。塩の意味を知ったうえでいただく一杯は、きっと今までと違って見えるはずです。

次のアクションとしては、まずご家庭の味噌のパッケージで食塩相当量を確認し、計量スプーンで1杯分の味噌を量ってみてください。自分の味噌汁の塩分を一度数字で把握しておくと、日々の調整が格段にしやすくなります。あわせて、味噌汁の基本の作り方もぜひご覧ください。

参考情報

  • 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」— 味噌各種の食塩相当量
  • 厚生労働省「国民健康・栄養調査」(令和5年)— 食塩摂取量の平均値(e-Stat 統計表ID: 0003224922)
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」— 食塩の目標量
  • マルコメ「みそ汁1杯の塩分量・塩分濃度の計算式」(https://faq.marukome.co.jp/)
  • 第36回日本高血圧学会総会(2013年)報告「習慣的味噌汁摂取が血管年齢に与える影響」(共立女子大学・上原誉志夫教授)(https://www.atpress.ne.jp/releases/40356/x_5.pdf)
  • ハナマルキ「みそ汁の塩分は多くはありません」(https://www.hanamaruki.co.jp/misogura/health/salt-in-miso/)



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