味噌のメリット・デメリットを解説|健康効果と塩分の注意点

味噌のメリット・デメリットを解説|健康効果と塩分の注意点 味噌

最終更新: 2026-09-23

味噌のメリットは、発酵によって大豆のイソフラボンが抗酸化力の強い形に変わることや、耐塩性乳酸菌がつくる独自の腸内環境への働きが期待できる点です。一方でデメリットは、塩分濃度が10〜13%程度と高く、食べ過ぎれば1日の塩分摂取目標量を超えやすいことにあります。「味噌は体にいい」「いや塩分が心配」という相反する情報を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、味噌の発酵の仕組みから健康効果とされているものの根拠、そして注意したい点までを、公的機関の調査データを交えて整理します。

味噌のメリット・デメリットが生まれる理由|発酵の仕組みから

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味噌のメリットもデメリットも、原料は同じ「大豆・麹・塩」というシンプルな組み合わせから生まれます。仕込みの段階で、麹菌の酵素(プロテアーゼ)が大豆のたんぱく質をペプチドやアミノ酸に分解し、麹のデンプンはアミラーゼによって糖に分解されます。生まれた糖を栄養源に耐塩性の乳酸菌や酵母がゆっくりと発酵を進め、うま味・香り・色を作り出します。

発酵で起きていること 関わる菌・酵素 生まれる成分
たんぱく質の分解 麹菌のプロテアーゼ ペプチド、遊離アミノ酸(うま味)
デンプンの糖化 麹菌のアミラーゼ ブドウ糖、オリゴ糖
糖の乳酸発酵 耐塩性乳酸菌 乳酸、香気成分
大豆イソフラボンの変換 麹菌・微生物の代謝 抗酸化性の高いアグリコン型イソフラボン

この発酵の過程で生まれる成分がメリットの土台になる一方、雑菌の繁殖を防いで発酵を安定させるために仕込みの段階で加える塩(一般的な味噌で10〜13%程度)が、そのままデメリットである塩分の多さにつながります。メリットとデメリットは、どちらも同じ発酵という仕組みの別の側面といえます。

味噌のメリット|期待されている健康効果

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大豆イソフラボンが抗酸化力の強い形に変わる

大豆に含まれるイソフラボンは、発酵によって糖が外れた「アグリコン型」に変換されることで、吸収されやすく抗酸化作用が強まるとされています。イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造を持ち、骨密度の維持や更年期の不調緩和に関わる可能性が研究されている成分です。

国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)では、1990年に岩手・秋田・長野・沖縄の4地域に住む40〜59歳の女性約2万人を対象に調査を開始し、10年間追跡した結果、大豆製品からのイソフラボン摂取量が多いグループほど乳がんの発生率が低い傾向がみられ、特に閉経後の女性でリスクの低下が顕著だったと報告されています(国立がん研究センター「多目的コホート研究」1990年開始)。味噌汁や豆腐など日常的な大豆製品の摂取量をもとにした前向き研究であり、味噌だけを対象にした結果ではない点には留意が必要です。

味噌汁を飲む頻度と胃がん死亡率を調べた古典的な調査

味噌と健康の関係を語る際によく引用されるのが、1981年に国立がんセンター研究所(当時)の平山雄氏が発表した疫学調査です。全国約27万人を13年間追跡したこの調査では、味噌汁を毎日飲む人と全く飲まない人を比較したところ、とくに男性で、全く飲まない人の胃がんによる死亡率が毎日飲む人より約50%高かったと報告されています。40年以上前の調査であり、当時と現在では食生活全体が大きく異なるため、この結果だけで「味噌汁を飲めば胃がんを防げる」と断定はできません。あくまで味噌汁を飲む習慣が当時の食生活パターンの一つの指標だった可能性も含め、参考情報として捉えるのが適切です。

血圧については「塩分の割に上がりにくい」とする研究がある

味噌は塩分を多く含む食品ですが、味噌の褐色色素であるメラノイジンや大豆由来のペプチド・イソフラボンには血圧の上昇を抑える働きがあるとする研究報告があります。同じ量の塩分を精製塩だけで摂取した場合と比べ、味噌として摂取したほうが血圧の上昇幅が小さかったとする実験結果や、味噌汁の摂取頻度と血圧値の間に明確な関連が見られなかったとする調査が報告されています。ただし、これは「味噌なら塩分を気にしなくてよい」という意味ではなく、次に説明するデメリットと合わせて理解する必要があります。

味噌のデメリット|知っておきたい注意点

塩分の摂りすぎにつながりやすい

味噌の塩分濃度は種類によって異なりますが、一般的な味噌でおよそ10〜13%です。味噌汁1杯(味噌約12〜15g使用)あたりの塩分はおよそ1.2〜1.5gとされ、1日に何杯も飲めば、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」が定める食塩摂取量の目標値(成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満)に占める割合は無視できません。実際、令和5年国民健康・栄養調査によると日本人成人の食塩摂取量の平均は男性10.7g、女性9.1gと、目標値を上回っているのが現状です。味噌汁だけが原因ではありませんが、日々使う調味料である分、意識しないうちに塩分摂取量を押し上げやすい食品ではあります。味噌の種類別の塩分量は味噌の塩分を種類別に比較した記事、味噌汁1杯あたりの塩分の目安は味噌汁の塩分を解説した記事で詳しく取り上げています。

大豆アレルギーがある人は注意が必要

味噌の主原料は大豆です。大豆アレルギーがある人は、発酵によってたんぱく質の形が変化していても、原因となるアレルゲンが残っている場合があるため、体調に異変を感じたら摂取を控え、医療機関に相談してください。

味噌だけで健康が保てるわけではない

味噌にどれだけ健康効果が期待できる成分が含まれていても、味噌だけを大量に摂ることが健康につながるわけではありません。野菜・魚・肉などほかの食品とのバランスを欠けば、栄養が偏る可能性があります。味噌はあくまで日々の食事を構成する調味料の一つとして、適量を継続的に取り入れる考え方が現実的です。

メリット・デメリットの早見表

観点 メリット デメリット
塩分 味噌として摂ると精製塩より血圧が上がりにくいとする研究がある 摂りすぎれば1日の食塩目標量を超えやすい
イソフラボン 発酵で吸収されやすい形に変換され、抗酸化作用が期待される 大豆アレルギーがある人には注意が必要な成分でもある
乳酸菌・発酵成分 独自の菌叢による腸内環境への働きが期待されている 味噌だけで栄養バランスは完結しない
手軽さ 味噌汁として毎日の食事に取り入れやすい 塩分量を意識せず使うと摂取量が増えやすい

味噌のメリットを活かしつつデメリットを抑える3つの工夫

1. 減塩タイプの味噌や、麹歩合の高い甘口味噌を選ぶ。塩分濃度が低めの味噌を選ぶだけで、同じ量を使っても塩分摂取量を抑えられます。

2. 味噌汁の具材を野菜やきのこ、海藻中心にする。汁の量に対して具材を増やすと、飲む汁の量そのものを自然に減らせます。

3. 1日の中で味噌を使う回数を意識する。朝食で味噌汁を飲んだら、昼・夜は別の調味料にするなど、1日の塩分摂取量を見渡して配分します。

味噌の塩分を抑えながら使うコツは、味噌汁の塩分を解説した記事でも具体的に紹介しています。

よくある質問

Q1: 味噌は毎日食べても大丈夫ですか?

塩分量を意識していれば、味噌汁1杯程度を毎日の食事に取り入れること自体は問題視されていません。厚生労働省が定める1日の食塩摂取目標量(成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満)の中に収まるよう、他の食事の塩分量とあわせて調整することが大切です。

Q2: 味噌のメリットはどの種類でも同じですか?

発酵によるイソフラボンの変換や乳酸菌の働きという基本的な仕組みは味噌の種類に共通しますが、塩分濃度や熟成期間は米味噌・麦味噌・豆味噌で異なります。種類ごとの違いは[味噌の種類と違いを解説した記事](https://jozo-navi.jp/miso-types-differences/)で確認できます。

Q3: 手作り味噌でも健康効果は期待できますか?

手作り味噌も市販品と同じく大豆・麹・塩を発酵させて作るため、基本的な発酵の仕組みは変わりません。仕込み方は[手作り味噌の作り方を解説した記事](https://jozo-navi.jp/homemade-miso-recipe/)を参考にしてください。

関連記事: 麦味噌とは?麦麹の特徴と九州・瀬戸内で愛される理由を解説

関連記事: 味噌麹とは?塩麹・醤油麹との違いと酵素力を生む仕組みを解説

関連記事: 味噌パンの作り方|3タイプの違いと発酵を活かすコツ

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まとめ:味噌はメリットとデメリットを理解した上で適量を

  • 味噌のメリットは、発酵によって大豆イソフラボンが抗酸化力の強い形に変わることや、塩分の割に血圧が上がりにくいとする研究報告があること
  • デメリットは、塩分濃度が10〜13%程度と高く、摂りすぎれば1日の食塩摂取目標量に近づきやすいこと
  • 大豆アレルギーがある人は原材料として注意が必要
  • 味噌だけで健康が保てるわけではなく、他の食品とのバランスの中で適量を継続するのが現実的な付き合い方

味噌の塩分をより詳しく知りたい方は、味噌の塩分を種類別に比較した記事もあわせてご覧ください。

この記事は醸造ナビ編集部が執筆しました。醸造ナビは味噌・醤油・酢・発酵食品に特化した専門メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報

  • 国立がん研究センター「多目的コホート研究(JPHC Study)」大豆・イソフラボン摂取と乳がん発生率との関係について(https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/258.html)1990年調査開始、2026年9月確認
  • 味噌のがん予防|信州の味噌蔵 石井味噌(https://ishiimiso.com/miso/science/cancer-prevention)平山雄氏・国立がんセンター研究所の疫学調査の紹介、2026年9月確認
  • 味噌の血圧上昇抑制効果に関する研究|マルコメ研究開発(https://www.marukome.co.jp/rd/result03/)2026年9月確認
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」食塩相当量の目標量(https://www.kenpakusha.co.jp/data/seigo1/005004-05.pdf)2026年9月確認
  • 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果」食塩摂取量の平均値(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48567.html)2026年9月確認
  • 文部科学省 食品成分データベース(米みそ/淡色辛みそ)食塩相当量(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=17_17045_7)日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年、2026年9月確認
  • 「発酵概論」味噌発酵における酵素と乳酸菌の役割|マルコメ研究開発(https://www.marukome.co.jp/rd/special01/005/)2026年9月確認
  • 「大豆発酵食品におけるo-ジヒドロキシイソフラボンの形成とその抗酸化的役割」日本醸造協会誌(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/97/1/97_1_39/_article/-char/ja/)2026年9月確認




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