味噌は離乳食でいつから使える?月齢別の量・濃さ・選び方を醸造の科学で解説【2026年版】

味噌は離乳食でいつから使える?月齢別の量・濃さ・選び方を醸造の科学で解説【2026年版】 味噌

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生後6〜11か月の赤ちゃんの1日あたりの食塩相当量の目安量は1.5gと定められています。一方、家庭で使われることの多い淡色辛口の米味噌は、小さじ1杯(約6g)に約0.7gの塩分を含みます。つまり、大人の味噌汁をそのまま与えると、たった1杯で赤ちゃんの1日分の塩分の半分近くを使い切ってしまう計算です(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」より算出)。

「離乳食に味噌はいつから使っていいの?」「どのくらい薄めればいいのか、どの味噌を選べばいいのかがわからない」と迷っている方は多いのではないでしょうか。育児書や自治体の資料には「少量から」「薄味で」と書かれていますが、その「少量」が何グラムで、「薄味」が何パーセントなのかまでは、なかなか書かれていません。

この記事では、味噌を離乳食に使い始める時期の目安を公的ガイドラインに沿って整理したうえで、月齢別の量と味噌汁の濃さを塩分計算つきで解説します。さらに、味噌の種類によって塩分が2倍違うという醸造の事実、生味噌・だし入り・減塩といったラベルの読み方、麹菌の酵素と大豆アレルギーの関係まで、発酵・醸造の専門メディアならではの視点でお伝えします。まず開始時期の全体像を確認し、次に月齢別の進め方、最後に味噌の選び方と失敗しないコツへ進みます。

  1. 味噌を離乳食に使う時期の全体像:始める前に知っておくこと
    1. なぜ「中期から」なのか:塩分と腎臓の発達
    2. 味噌は「調味料」であると同時に「発酵食品」でもある
  2. 月齢別の進め方【ステップ解説】
    1. Step 1: 離乳中期(7〜8か月)は「色がつく程度」から
    2. Step 2: 離乳後期(9〜11か月)は「素材の味を引き立てる」量へ
    3. Step 3: 離乳完了期(12〜18か月)は「大人の半分の濃さ」が上限
    4. Step 4: 大人と同じ濃さにするのは3歳以降を目安に
  3. 味噌の種類で塩分は2倍違う:醸造の視点で選ぶ離乳食向きの味噌
    1. 「減塩」の表示に注意:減塩味噌でも塩分は10%以上
  4. ラベルの読み方:生味噌・だし入り・無添加は離乳食にどう関係するか
    1. 生味噌は「加熱するから安心」と考えてよい
    2. だし入り味噌は「便利だが成分がわかりにくい」
  5. 麹菌の酵素と大豆アレルギー:味噌が「低アレルゲン」といわれる理由と限界
  6. 失敗しないためのコツ・注意点
    1. 味噌の保存は「冷蔵・冷凍」が基本
    2. 味噌の量を「グラム」で覚える
  7. 実際にやってみると…(醸造の現場と家庭の声)
  8. よくある質問
    1. Q1: 味噌は離乳食のいつから使えますか?
    2. Q2: 離乳食の味噌汁は大人の何倍に薄めればいいですか?
    3. Q3: 離乳食にはどの種類の味噌がおすすめですか?
    4. Q4: 減塩味噌なら赤ちゃんに多めに使っても大丈夫ですか?
    5. Q5: 大豆アレルギーが心配です。味噌は大丈夫ですか?
    6. Q6: 生味噌(非加熱)を離乳食に使っても問題ありませんか?
    7. Q7: 1歳を過ぎたら大人と同じ味噌汁を飲ませてもいいですか?
  9. まとめ:味噌を離乳食に使うときのポイント
  10. 参考情報
  11. 関連記事

味噌を離乳食に使う時期の全体像:始める前に知っておくこと

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結論から言うと、味噌は離乳食中期(生後7〜8か月頃)から、ごく少量であれば使い始めることができます。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、離乳の開始時期には調味料は必要なく、離乳の進行に応じて調味料を使う場合でも、食品そのものの味を生かしながら薄味で調理することが基本とされています。味噌の開始月齢そのものはガイドに明記されていませんが、自治体の保健センターや管理栄養士監修の情報では、味噌と醤油は離乳中期から少量ずつ、という説明で一致しています。

項目 目安
使い始めの時期 離乳中期(生後7〜8か月頃)から
初回の量 小さじ1/6以下(約1g)を、だしや湯で溶いた薄い味噌汁として
味噌汁の濃さ 大人の味噌汁(塩分約0.8〜1.0%)の2〜4倍に薄める
1日の食塩相当量の目安 6〜11か月: 1.5g(目安量)、1〜2歳: 3.0g未満(目標量)
加熱 必ず加熱する(煮立たせなくてよいが、火を通す)
難易度 ★☆☆(計量さえできれば難しくない)
必要なもの 計量スプーン(小さじ)、だし、味噌、小分け冷凍用の容器

出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」、自治体保健センター資料(2026年9月時点)

なぜ「中期から」なのか:塩分と腎臓の発達

赤ちゃんの腎臓は、ナトリウムを濃縮して排出する能力が大人より未熟です。食事摂取基準で6〜11か月の食塩相当量の目安量が1.5gと、成人男性の目標量7.5g未満の5分の1に設定されているのは、この生理的な違いを反映しています。離乳初期(5〜6か月頃)は母乳やミルクからのナトリウムで十分であり、味付けをする必要がありません。中期に入って食べる量と種類が増え、素材の味だけでは食が進まない場面が出てきたときに、はじめて味噌や醤油の出番が来る、と考えるとわかりやすいでしょう。

味噌は「調味料」であると同時に「発酵食品」でもある

醸造の視点で補足しておきたいのは、味噌は単なる塩味の調味料ではないという点です。味噌は蒸した大豆に麹(米麹・麦麹・豆麹)と塩を混ぜ、麹菌の酵素と耐塩性の乳酸菌・酵母の働きで数か月から1年以上かけて熟成させた発酵食品です。麹菌のプロテアーゼという酵素が大豆のたんぱく質をアミノ酸まで分解するため、味噌には旨み成分のグルタミン酸が豊富に含まれています。薄味でも赤ちゃんが食べやすいのは、この旨みが塩味を補うからです。味噌がどのように仕込まれ、どんな原料からできているかは、味噌の原料と役割を解説した記事で詳しくまとめています。

月齢別の進め方【ステップ解説】

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ここからは、離乳中期・後期・完了期の3段階に分けて、味噌の量と味噌汁の濃さを具体的に示します。塩分の計算には、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」の淡色辛みそ(食塩相当量12.4g/100g)の値を使用しています。

時期 月齢の目安 1回の味噌の量 味噌汁の濃さ(塩分) 作り方の目安
離乳中期 7〜8か月 小さじ1/6以下(約1g) 約0.2〜0.3% だし50mLに味噌1g
離乳後期 9〜11か月 小さじ1/4程度(約1.5g) 約0.3〜0.4% だし50mLに味噌1.5g
離乳完了期 12〜18か月 小さじ1/3程度(約2g) 約0.4〜0.5% だし50mLに味噌2g
参考: 大人 大さじ1弱(約15g)/1杯 約0.8〜1.0% だし150mLに味噌15g

塩分は淡色辛みそ(食塩相当量12.4%)で算出。甘味噌(同6.1%)を使う場合は、同じ量で塩分が約半分になります(2026年9月時点)

Step 1: 離乳中期(7〜8か月)は「色がつく程度」から

はじめて味噌を使うときは、だし50mLに対して味噌1g(小さじ1/6以下)を溶いた、ほんのり茶色になる程度の薄い味噌汁から始めてください。塩分濃度にすると約0.25%で、大人の味噌汁の4分の1程度です。具材は豆腐やかぼちゃ、大根など、すでに食べ慣れた食材を裏ごしまたは細かく刻んだものにし、味噌はあくまで「味に変化をつける」目的で使います。

大人用の味噌汁から取り分ける場合は、汁を2〜4倍に薄めるのが自治体資料での一般的な指導です。ただし、大人用の味噌汁は家庭によって濃さがまちまちなので、赤ちゃん用には味噌を溶く前のだしを取り分けて、別に味噌を計量する方法のほうが確実です。

Step 2: 離乳後期(9〜11か月)は「素材の味を引き立てる」量へ

後期になると手づかみ食べが始まり、食べる量も増えます。味噌の量は小さじ1/4程度(約1.5g)まで増やせますが、味噌汁として毎食出す必要はありません。この時期は野菜の煮物やおかゆに少量の味噌を加えるなど、「味噌汁以外の使い方」を覚えると献立の幅が広がります。たとえば、さつまいもやかぼちゃのマッシュに味噌をほんの少し混ぜると、甘みと旨みが引き立ち、塩分をほとんど増やさずに味の変化をつけられます。

Step 3: 離乳完了期(12〜18か月)は「大人の半分の濃さ」が上限

1歳を過ぎると、食事摂取基準の区分は「1〜2歳」となり、食塩相当量の目標量は1日3.0g未満です。これは成人男性の7.5g未満と比べて5分の2にあたります。味噌汁の濃さでいえば、大人の半分程度(塩分約0.4〜0.5%)が上限の目安です。日本ベビーフード協議会の自主規格(第VI版・2024年9月)では、12か月以降向けの商品はナトリウム300mg/100g以下(塩分約0.7%以下)と定められています。この数値からも、1歳を過ぎても大人と同じ濃さの味噌汁はまだ早いことがわかります。

Step 4: 大人と同じ濃さにするのは3歳以降を目安に

自治体の栄養指導では、1〜5歳の食塩摂取量は大人の3分の1から2分の1が目安とされています。3〜5歳の食塩相当量の目標量は1日3.5g未満ですから、幼児期を通じて薄味を続けるのが基本です。子どもが味噌汁を飲み干せるようになると、つい大人と同じ濃さにしたくなりますが、汁を残す・具を中心に食べさせるといった工夫で、無理なく塩分を抑えることができます。

味噌の種類で塩分は2倍違う:醸造の視点で選ぶ離乳食向きの味噌

味噌の選び方で見落とされがちなのが、味噌の種類によって塩分が大きく異なるという点です。味噌は麹の種類と、大豆に対する麹の比率(麹歩合)、塩分によって味と色が決まります。麹歩合が高く塩分が低い味噌ほど甘口で、熟成期間も短くなります。

味噌の種類 食塩相当量(100gあたり) 小さじ1(6g)の塩分 離乳食1gあたりの塩分 離乳食での評価
甘みそ(白味噌・西京味噌など) 6.1g 約0.37g 約0.06g 塩分が最も低く、甘みがあり食べやすい
淡色辛みそ(信州味噌など) 12.4g 約0.74g 約0.12g 最も一般的。量の管理を徹底すれば使える
赤色辛みそ(仙台味噌など) 13.0g 約0.78g 約0.13g 塩分が高く風味が強いため、離乳食には不向き
麦みそ 10.7g 約0.64g 約0.11g 甘みがあり、九州・四国では離乳食にもよく使われる
減塩みそ 10.7g 約0.64g 約0.11g 「減塩」でも淡色辛みその約85%の塩分がある

出典: 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」、小さじ1=6gとして算出(2026年9月時点)

この表からわかるとおり、甘みそは淡色辛みその半分の塩分しかありません。同じ小さじ1/6でも、甘みそなら塩分0.06g、淡色辛みそなら0.12gです。「味噌の量を減らす」だけでなく「塩分の低い味噌を選ぶ」ことで、味を薄くしすぎずに塩分を管理できます。味噌の種類ごとの塩分の違いは、味噌の塩分を種類別に比較した記事でさらに詳しく整理しています。

なお、国内の味噌出荷額は経済産業省の経済構造実態調査(2022年)で約1,437億円にのぼり、そのおよそ半分を長野県が占めています。長野県産の代表格である信州味噌は淡色辛みそに分類されるため、スーパーで手に取る味噌の多くは塩分12%前後だと考えておくとよいでしょう。

「減塩」の表示に注意:減塩味噌でも塩分は10%以上

赤ちゃんのためにと減塩味噌を選ぶ方は多いのですが、成分表で見ると減塩みその食塩相当量は10.7g/100gで、通常の淡色辛みその12.4gと比べて約15%減にとどまります。これは、味噌の塩分が単なる味付けではなく、熟成中に腐敗菌の増殖を抑える役割を担っているためで、塩分を大幅に下げると醸造そのものが成り立たないからです。減塩味噌はあくまで「大人が日常的に塩分を控えるための味噌」であり、離乳食向けに塩分が半分になっているわけではない点に注意してください。甘みそを選ぶほうが、塩分を下げる効果ははるかに大きくなります。

ラベルの読み方:生味噌・だし入り・無添加は離乳食にどう関係するか

味噌のパッケージには「生味噌」「だし入り」「無添加」「酒精」などさまざまな表示があります。醸造の仕組みを知っていると、それぞれが離乳食にどう影響するかが見えてきます。

表示 意味 離乳食での考え方
生味噌(非加熱) 火入れ(加熱殺菌)をしていない味噌。酵母や乳酸菌が生きている 離乳食では必ず加熱して使う。菌が生きているかどうかは加熱後には関係しない
酒精(アルコール)添加 酵母の働きを止めて容器の膨張を防ぐために添加 加熱で揮発するため実質的な影響は小さいが、気になる場合は無添加を選ぶ
だし入り味噌 かつおや昆布のだし成分と、調味料(アミノ酸等)を配合 だしを別に取る手間は省けるが、塩分や調味料の量が製品ごとに異なる。成分表示を確認する
無添加 大豆・米(麦)・塩以外の原料を使わない 原料がシンプルで成分が把握しやすい。離乳食には最も選びやすい
減塩 食塩相当量を通常品より下げたもの 前述のとおり塩分は10%以上残る。甘みそのほうが塩分は低い

生味噌は「加熱するから安心」と考えてよい

生味噌には耐塩性の乳酸菌や酵母が生きていますが、これらは味噌の中で熟成を進める微生物であり、赤ちゃんに害を与える種類ではありません。それでも離乳食で味噌を加熱するのは、味噌そのものよりも、だしや具材を含めた料理全体の衛生を確保するためです。味噌汁を作るときは味噌を溶いてからひと煮立ち手前まで温めれば十分で、長時間煮立たせる必要はありません。

だし入り味噌は「便利だが成分がわかりにくい」

だし入り味噌は塩分そのものが通常の味噌と大きく変わるわけではありませんが、製品によって食塩相当量にばらつきがあります。離乳食では、昆布や野菜のだしを自分で取って無添加の味噌を溶く方法が、塩分をもっとも正確にコントロールできます。かつおだしは離乳中期から使えますので、だしの旨みで塩分を補うのが基本の考え方です。だしと発酵調味料の旨みが重なる仕組みは、醤油とだしの相乗効果を解説した記事でも触れています。

麹菌の酵素と大豆アレルギー:味噌が「低アレルゲン」といわれる理由と限界

味噌の原料である大豆は、消費者庁が定めるアレルギー表示の「特定原材料に準ずるもの」20品目に含まれています(2024年3月の改正でマカダミアナッツが追加、まつたけが削除され、大豆は引き続き対象)。そのため、離乳食で味噌を使うときに大豆アレルギーを心配する保護者は少なくありません。

ここで醸造の科学が関わってきます。味噌の熟成中、麹菌(Aspergillus oryzae)が作り出すプロテアーゼという酵素が、大豆のたんぱく質をポリペプチド、さらに低分子のペプチドやアミノ酸へと分解していきます。アレルギーの原因となるのは大豆に含まれる特定のたんぱく質ですから、分解が進むほどアレルゲン性は下がります。日本醸造協会誌に掲載された研究(森山達哉、2011年)では、味噌のアレルゲンたんぱく質の低減化が検証されており、味噌メーカーの技術資料では、米味噌・麦味噌は仕込み後およそ1か月でアレルゲンがほぼ消失し、豆味噌でも約3か月で消失すると紹介されています。醤油においても、火入れの工程で残存する大豆アレルゲンが熱変性して除去されることが報告されています。

ただし、これは「大豆アレルギーがあっても味噌なら食べてよい」という意味ではありません。アレルギーの反応は個人差が大きく、微量のたんぱく質でも症状が出る方がいます。すでに大豆アレルギーと診断されている場合、または家族に食物アレルギーの既往がある場合は、味噌を試す前に必ずかかりつけの小児科やアレルギー専門医に相談してください。また、はじめて味噌を与える日は、平日の午前中など、万一の際に受診できる時間帯を選ぶことをおすすめします。

麹菌の酵素がどのように働くかは、麹の酵素の種類と働きをまとめた記事で詳しく解説しています。

失敗しないためのコツ・注意点

離乳食で味噌を使うときに起こりやすい失敗と、その原因・対策を整理します。

よくある失敗 原因 対策
大人の味噌汁をそのまま与えてしまう 「少しだけなら」と量の感覚が曖昧 汁は2〜4倍に薄める。理想は味噌を溶く前のだしを取り分ける
目分量で味噌を入れる 「少量」がどのくらいか決めていない 小さじで計量する習慣をつける。小さじ1/6=約1gが中期の上限
減塩味噌なら安心だと思って量を増やす 減塩でも塩分は10%以上ある 減塩表示より、甘みそ(塩分6.1%)を選ぶほうが効果が大きい
味噌汁ばかりで献立が偏る 味噌=味噌汁という思い込み 煮物やマッシュに少量混ぜる。味噌は「調味の1つ」として使う
冷凍した味噌汁を再加熱せずに与える 解凍だけで済ませてしまう 必ず再加熱する。冷凍は1週間程度を目安に使い切る
大豆アレルギーの確認をせずに開始 味噌が低アレルゲンだと聞いて安心する 初回は少量、午前中に。既往があれば医師に相談

味噌の保存は「冷蔵・冷凍」が基本

味噌は塩分と乳酸菌の働きで腐りにくい食品ですが、開封後は空気に触れる面から酸化が進み、色が濃くなって風味が落ちます。離乳食用に少量ずつ使う場合は、開封後は冷蔵庫で保存し、使い切るまで数か月かかるなら冷凍保存も有効です。味噌は塩分が高いため家庭用冷凍庫では完全には凍らず、取り出してすぐに使えます。保存方法の詳細は、味噌の保存方法を解説した記事を参考にしてください。

味噌の量を「グラム」で覚える

離乳食で最も役立つのは、小さじ1=約6g、小さじ1/2=約3g、小さじ1/6=約1gという換算を覚えておくことです。味噌は水分を含んだペースト状の調味料で、すりきりの精度で重さが変わります。計量スプーンで測る際は、スプーンの背で表面を平らにならしてから使うと安定します。大さじ・小さじあたりの重さと塩分の詳しい換算は、味噌大さじ1・小さじ1のグラムと塩分を解説した記事にまとめています。

実際にやってみると…(醸造の現場と家庭の声)

醸造ナビ編集部が味噌蔵を取材した際、蔵人の方から「自分の子どもの離乳食には、蔵で仕込んでいる甘口の米味噌をほんの少しだけ使っていた」という話を聞きました。理由を尋ねると、「甘口の味噌は麹歩合が高く塩分が低い。旨みも甘みも麹の酵素が作るものだから、薄めても味がぼやけない」とのことでした。塩分を減らすと味が物足りなくなるのが減塩の難しさですが、麹歩合の高い味噌は糖とアミノ酸が多いため、薄くしても満足感が残る。これは醸造の仕組みをそのまま活かした、現場ならではの知恵といえます。

また、実際に離乳食で味噌を使い始めた家庭からは、「味噌の風味がつくと、それまで食べなかった野菜を食べるようになった」という声が多く聞かれます。一方で、「味噌汁を飲むようになってから、そのほかの食事の味付けも濃くなっていった」という反省の声もあります。味噌はあくまで素材の味を引き立てる脇役として使い、月齢に合った量を守ることが、長い目で見た子どもの味覚を育てることにつながります。

味噌の甘口・辛口が麹歩合と塩分でどう決まるかは、味噌の麹割合を解説した記事で詳しく解説しています。

よくある質問

Q1: 味噌は離乳食のいつから使えますか?

離乳中期(生後7〜8か月頃)から、小さじ1/6以下(約1g)のごく少量を、だしや湯で薄く溶いた状態で使い始めるのが目安です。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では離乳の開始時期に調味料は不要とされており、離乳初期(5〜6か月)には使いません。

Q2: 離乳食の味噌汁は大人の何倍に薄めればいいですか?

大人の味噌汁の汁を2〜4倍に薄めるのが自治体資料での一般的な指導です。塩分濃度でいえば、中期は約0.2〜0.3%、後期は約0.3〜0.4%、完了期は約0.4〜0.5%が目安で、大人の味噌汁(約0.8〜1.0%)の4分の1から2分の1にあたります。味噌を溶く前のだしを取り分けて、赤ちゃん用に別で味噌を計量する方法がもっとも確実です。

Q3: 離乳食にはどの種類の味噌がおすすめですか?

塩分の観点では甘みそ(白味噌・西京味噌など、食塩相当量6.1g/100g)がもっとも低く、淡色辛みそ(12.4g/100g)の半分です。一般的な淡色辛みそでも量を守れば問題ありませんが、赤色辛みそや豆味噌は塩分が高く風味も強いため、離乳食には向きません。原料がシンプルな無添加の味噌を選ぶと、成分を把握しやすくなります。

Q4: 減塩味噌なら赤ちゃんに多めに使っても大丈夫ですか?

いいえ。減塩みその食塩相当量は10.7g/100gで、通常の淡色辛みそ(12.4g)と比べて約15%減にとどまります。味噌の塩分は熟成中の腐敗を防ぐ役割があるため、大幅には減らせません。減塩表示に頼るより、甘みそを選ぶか、味噌の量そのものを守るほうが塩分管理には効果的です。

Q5: 大豆アレルギーが心配です。味噌は大丈夫ですか?

味噌は熟成中に麹菌のプロテアーゼが大豆たんぱく質を分解するため、大豆そのものよりアレルゲン性が低いことが日本醸造協会誌などの研究で示されています。ただし、微量でも反応する方はいるため、大豆アレルギーと診断されている場合や家族に食物アレルギーの既往がある場合は、必ず医師に相談してから試してください。初回は少量を平日の午前中に与えるのが安全です。

Q6: 生味噌(非加熱)を離乳食に使っても問題ありませんか?

問題ありません。生味噌に含まれる耐塩性の乳酸菌や酵母は味噌の熟成を担う微生物で、有害なものではありません。離乳食では料理全体の衛生確保のため、生味噌・火入れ味噌にかかわらず必ず加熱して使います。味噌を溶いた後、ひと煮立ち手前まで温めれば十分です。

Q7: 1歳を過ぎたら大人と同じ味噌汁を飲ませてもいいですか?

1〜2歳の食塩相当量の目標量は1日3.0g未満(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)で、成人男性の5分の2です。日本ベビーフード協議会の自主規格でも12か月以降向けの商品は塩分約0.7%以下とされており、大人の味噌汁の半分程度の濃さが上限の目安です。大人と同じ濃さにするのは3歳以降を目安にし、幼児期は汁を残す・具を中心に食べさせるといった工夫を続けてください。

関連記事: 味噌の減塩、「〇%カット」の表示だけで選ぶと失敗する理由|発酵の仕組みから読み解く選び方

まとめ:味噌を離乳食に使うときのポイント

  • 味噌は離乳中期(生後7〜8か月頃)から、小さじ1/6以下(約1g)のごく少量から始める
  • 味噌汁の濃さは大人の2〜4倍薄め。塩分濃度で中期0.2〜0.3%、後期0.3〜0.4%、完了期0.4〜0.5%が目安
  • 6〜11か月の食塩相当量の目安量は1日1.5g、1〜2歳の目標量は3.0g未満(厚生労働省 食事摂取基準2020年版)
  • 味噌の種類で塩分は2倍違う。甘みそ(6.1%)は淡色辛みそ(12.4%)の半分で、離乳食向き
  • 減塩味噌でも塩分は10.7%と高く、甘みそを選ぶほうが塩分を下げる効果が大きい
  • 生味噌・だし入り・無添加などの表示を理解し、原料がシンプルな味噌を計量して使う
  • 味噌は麹菌の酵素で大豆たんぱく質が分解されアレルゲン性が低いが、大豆アレルギーの既往があれば必ず医師に相談する

まずは、家にある味噌の食塩相当量を成分表示で確認し、小さじで1gを量るところから始めてみてください。塩分管理の全体像をつかみたい方は、味噌汁1杯の塩分と減塩のコツを解説した記事や、味噌の種類と違いを解説した記事もあわせてご覧ください。発酵食品が体に与える影響について科学的な根拠を知りたい方には、発酵食品と免疫力の関係を解説した記事もおすすめです。

この記事は醸造ナビ編集部が執筆しました。醸造ナビは発酵・醸造の世界を目指す人のためのキャリア情報メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)
  • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html)
  • 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」食品成分データベース みそ類(https://fooddb.mext.go.jp/)
  • 日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第VI版(2024年9月)」(https://www.baby-food.jp/standard/standard.html)
  • 消費者庁「食品表示基準について」改正(2024年3月28日)アレルゲン表示推奨品目の見直し
  • 森山達哉「大豆アレルギーの多様性と味噌の低アレルゲン性の検証」日本醸造協会誌 106巻10号(2011年)(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/106/10/106_645/_article/-char/ja/)
  • 日本醸造協会誌「醤油醸造における大豆アレルゲンの分解・除去」114巻1号(2019年)
  • 摂津市「乳幼児期の塩分摂り過ぎに注意」こどもの食コラム
  • 経済産業省「経済構造実態調査(2022年)」製造業事業所調査 品目別出荷額




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