醤油は離乳食でいつから使える?量の目安と塩分計算を醸造の科学で解説【2026年版】

醤油は離乳食でいつから使える?量の目安と塩分計算を醸造の科学で解説【2026年版】 醤油

最終更新: 2026-09-10

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」によると、家庭でよく使われる濃口醤油は100gあたり14.5gの食塩相当量を含みます。大さじ1杯(18g)に換算すると約2.6gの塩分になり、これは厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が定める生後6〜11か月の赤ちゃんの1日あたりの食塩相当量の目安量1.5gを、たった大さじ1杯で超えてしまう計算です。

「離乳食に醤油はいつから使っていいの?」「味噌はよく聞くけれど、醤油はどのタイミングで、どのくらいの量から始めればいいのかわからない」と感じている方は少なくないはずです。醤油は色が濃く香りも強いため、味噌以上に「ほんの一滴」の加減が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、醤油を離乳食に使い始める時期の目安を公的ガイドラインに沿って整理したうえで、月齢別の量と塩分計算を具体的に示します。さらに、発酵・醸造の専門メディアならではの視点として、濃口・薄口・だし醤油で塩分が実は違うという醸造の事実や、小麦・大豆アレルギーとの向き合い方まで詳しく解説します。まず開始時期の全体像を確認し、次に月齢別の進め方、最後に醤油の選び方と失敗しないコツへ進みます。

醤油を離乳食に使う時期の全体像:始める前に知っておくこと

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結論から言うと、醤油はごく少量の風味付けであれば離乳中期(生後7〜8か月頃)から使える場合もありますが、味噌以上に慎重さが求められるため、しっかりとした量で使い始めるのは離乳後期(生後9〜11か月頃)からが目安、というのが管理栄養士監修の情報や自治体資料で共通して示されている考え方です。厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、離乳の開始時期には調味料は必要なく、離乳の進行に応じて調味料を使う場合でも、食品そのものの味を生かしながら薄味で調理することが基本とされています。

項目 目安
使い始めの時期 風味付け程度なら中期から、本格的な使用は離乳後期(生後9〜11か月頃)から
初回の量 1〜2滴(ごく少量)を、だしや白湯で薄めて
離乳後期の目安量 小さじ1/5程度(約1mL)まで
離乳完了期の目安量 小さじ1/3〜1/2程度(約2〜3mL)まで
1日の食塩相当量の目安 6〜11か月: 1.5g(目安量)、1〜2歳: 3.0g未満(目標量)
加熱 必ず加熱する(香りづけ程度でも一度火を通す)
難易度 ★★☆(味噌より少量管理がシビア)
必要なもの スポイトまたは計量スプーン(小さじ以下)、だし、小分け冷凍用の容器

出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」、管理栄養士監修の離乳食情報サイト(2026年9月時点)

なぜ醤油は味噌よりワンテンポ遅いのか

味噌は離乳中期から少量ずつ使い始められるのに対し、醤油はもう少し慎重に、というのが一般的な考え方です。理由は大きく2つあります。ひとつは、味噌は「味噌汁」として大量のだしで薄めて使うのが前提なのに対し、醤油は「ひとたらし」で香りづけに使われることが多く、量の管理がより細かくなる点です。もうひとつは、醤油には大豆に加えて小麦も原料として含まれており、アレルギーの観点でも一品ずつ慎重に進める必要がある点です。焦らず、赤ちゃんの様子を見ながら進めることが何より大切です。

醤油は「調味料」であると同時に「発酵食品」でもある

醸造の視点で補足しておきたいのは、醤油も味噌と同じく、単なる塩味の調味料ではないという点です。醤油は蒸した大豆と炒った小麦に麹菌を加えて醤油麹をつくり、そこに塩水を加えて数か月から1年以上かけて「もろみ」を発酵・熟成させたものです。麹菌のプロテアーゼという酵素が大豆と小麦のたんぱく質をアミノ酸まで分解するため、醤油には旨み成分のグルタミン酸が豊富に含まれています。醤油がどのような工程でつくられているかは、醤油の製造工程を解説した記事で詳しくまとめています。

月齢別の進め方【ステップ解説】

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ここからは、離乳中期・後期・完了期の3段階に分けて、醤油の量と塩分の目安を具体的に示します。塩分の計算には、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」の濃口醤油(食塩相当量14.5g/100g)の値を使用しています。

時期 月齢の目安 1回の醤油の量 塩分量の目安 使い方の目安
離乳中期 7〜8か月 使わないか、使うなら1〜2滴 約0.02〜0.03g 野菜スープやおかゆにごく少量、香りづけ程度
離乳後期 9〜11か月 小さじ1/5程度(約1mL) 約0.15g だしで割った煮物や炒め物の風味づけ
離乳完了期 12〜18か月 小さじ1/3〜1/2程度(約2〜3mL) 約0.3〜0.4g 煮物・炒め物の下味として使用可
参考: 大人 大さじ1(約18mL) 約2.6g 通常の調理・卓上調味

塩分は濃口醤油(食塩相当量14.5g/100g)で算出。1mL=約1.2gとして換算(2026年9月時点)

Step 1: 離乳中期(7〜8か月)は「使わない」選択肢も含めて考える

離乳中期の段階では、そもそも調味料を使う必要がないというのが厚生労働省のガイドの原則です。だしや食材そのものの味で十分な場合は、無理に醤油を使う必要はありません。どうしても風味づけをしたい場合は、だし50mLに対して醤油1滴を垂らす程度にとどめ、色よりも香りをうっすらつける感覚で使ってください。

Step 2: 離乳後期(9〜11か月)は「小さじ1/5」を起点に

後期になると食べる量も種類も増え、素材の味だけでは飽きが出てくる場面が増えます。醤油の量は小さじ1/5程度(約1mL)を起点にし、煮物やうどんの煮汁などに使います。醤油はスプーンで正確に計るのが難しいため、計量スプーンの小さじ(5mL)に対して「5分の1くらいの深さ」を目安にするか、スポイトを使うと管理しやすくなります。だしで割っただし醤油を使う方法も、塩分を薄めながら旨みを足せるため、離乳食では扱いやすい選択肢のひとつです。

Step 3: 離乳完了期(12〜18か月)は「素材の下味」まで使える

1歳を過ぎると、食事摂取基準の区分は「1〜2歳」となり、食塩相当量の目標量は1日3.0g未満です。醤油の量は小さじ1/3〜1/2程度(約2〜3mL)まで増やせ、煮物や炒め物の下味として使うことができます。ただし、この量でも塩分は約0.3〜0.4gにのぼり、1日の目標量の1割以上を占めることに変わりはありません。他の食事(味噌汁、パン、加工食品など)と合わせて1日トータルで管理する意識が必要です。

Step 4: 大人と同じ濃さにするのは3歳以降を目安に

自治体の栄養指導では、1〜5歳の食塩摂取量は大人の3分の1から2分の1が目安とされています。3〜5歳の食塩相当量の目標量は1日3.5g未満ですから、幼児期を通じて薄味を続けるのが基本です。日本ベビーフード協議会の自主規格(第VI版・2024年9月)でも、12か月以降向けの商品はナトリウム300mg/100g以下(塩分約0.7%以下)と定められており、市販のベビーフードもこの水準で作られています。

濃口・薄口・だし醤油で塩分は違う:醸造の視点で選ぶ離乳食向きの醤油

醤油選びで見落とされがちなのが、「薄口醤油のほうが塩分が低い」という思い込みです。実際には逆で、薄口醤油は色を薄く仕上げるために発酵・熟成期間を短くする分、風味のボリュームを塩分で補っており、塩分は濃口よりも高くなります。

醤油の種類 食塩相当量(100gあたり) 大さじ1(18g)の塩分 離乳食での評価
濃口醤油 14.5g 約2.61g 最も一般的。家庭にあるものをごく少量から使いやすい
薄口醤油(淡口) 16.0g 約2.88g 色は薄いが塩分は濃口より高い。離乳食には不向き
だし醤油 約9〜11g(製品差あり) 約1.6〜2.0g だしで割られている分、塩分をやや抑えやすい
減塩醤油 約7〜9g(製品差あり) 約1.3〜1.6g 塩分は抑えられるが、代替塩分(塩化カリウム等)を含む製品もあり原材料表示の確認が必要
たまり醤油 約13g前後(製品差あり) 約2.3g前後 小麦を使わない、または少量の製品もあるが原材料表示の確認が必須

出典: 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」(濃口・薄口)、各メーカー公表値の一般的な範囲(だし醤油・減塩醤油・たまり醤油、2026年9月時点)

この表からわかるとおり、「色が薄いから塩分も控えめ」という直感は醤油には当てはまりません。濃口醤油と薄口醤油の違いを詳しく解説した記事でも触れているとおり、薄口は色を抑えるために発酵期間を短くし、その分を塩分で締める製法上の工夫がされています。離乳食で使うなら、見た目の色の薄さで選ぶのではなく、家庭でふだん使っている濃口醤油をごく少量から使うのが、もっともシンプルで管理しやすい方法です。

なお、たまり醤油や減塩醤油、専用のだし醤油を使う場合は、必ず商品ラベルの食塩相当量を確認してください。特にたまり醤油は小麦を使わない、または使用量が少ない製品が多く、小麦アレルギーが気になる家庭では選択肢のひとつになりますが、塩分自体は必ずしも低くないため、量の管理は同様に必要です。

失敗しないためのコツ・注意点

よくある失敗 原因 対策
「薄口だから」と薄口醤油を多めに使ってしまう 色の薄さと塩分の低さを混同 家庭にある濃口醤油をごく少量から使う
目分量で「ひとたらし」を入れすぎる 醤油は液体で計量しにくい スポイトや計量スプーンの小さじ以下で正確に計る
大人用のおかずを薄めて代用する 大人用の味つけは塩分が濃い場合が多い 赤ちゃん用は別鍋で、醤油を後から極少量加える
醤油のアレルギー表示を確認しない 醤油には大豆・小麦の両方が含まれる 初めて使う際は単品でごく少量から、他の新食品と重ねない
開封後の醤油を常温で長期保存する 風味の劣化・雑菌増加のリスク 開封後は冷蔵保存し、早めに使い切る

醤油の保存方法については、醤油の正しい保存方法を解説した記事でも詳しく紹介しています。離乳食用に少量だけ使う場合は、清潔なスプーンで必要な分だけ取り分け、ボトル本体に雑菌を持ち込まないようにする工夫も大切です。

醤油と小麦・大豆アレルギー:発酵の力で考える

醤油には大豆だけでなく小麦も主原料として使われているため、味噌以上にアレルギーへの配慮が必要です。一方で、醤油醸造メーカーが公表している情報によれば、6か月以上の長期熟成を経た本醸造の醤油は、麹菌や酵母による分解が進み、小麦由来のグルテンがほとんど検出されないレベルまで低減しているとされています。実際に、一部のメーカーは小麦由来たんぱく質が国の定めるアレルゲン検出限度(1ppm)を下回る「アレルゲン低減醤油」を商品化しています。

ただし、これは一般論としての傾向であり、アレルギー体質のあるお子さんに個別の商品が安全かどうかを保証するものではありません。大豆アレルギーや小麦アレルギーの診断を受けているお子さんに醤油を与える場合は、自己判断せずに必ずかかりつけの小児科医に相談したうえで、医師の指示に従って進めてください。初めて醤油を使うときは、体調のよい平日の午前中に、ごく少量だけを単独で試し、他の新しい食品と同時に与えないようにすることが基本です。

実際にやってみると…(体験ベースの補足)

編集部で離乳食用の醤油の分量を実際に計ってみたところ、小さじ1/5という量は、計量スプーンの小さじ(5mL)にスポイトで1mLを量り入れる形になり、目分量ではまず正確に再現できないことがわかりました。現場では、100円ショップ等で手に入る1mL単位の目盛りがついた離乳食用スポイトや計量カップを使い、だしで割った「醤油だし水」をあらかじめ小分け冷凍しておくと、毎回の計量の手間を減らせるという声が多く聞かれます。また、醤油は加熱すると香りが飛びやすい調味料でもあるため、仕上げの直前に加えると、少量でも香りを感じやすくなり、結果として使用量を抑えやすくなるという実践的な工夫も参考になります。

醤油の離乳食に関するよくある質問

Q1: 醤油は離乳食のいつから使えますか?

風味づけ程度であれば離乳中期(生後7〜8か月頃)から使える場合もありますが、しっかりとした量で使い始めるのは離乳後期(生後9〜11か月頃)からが一般的な目安です。心配な場合はかかりつけの小児科医や管理栄養士に相談してください。

Q2: 醤油と味噌、どちらを先に使い始めるべきですか?

どちらを先にしなければならないという決まりはありませんが、味噌は味噌汁として大量のだしで薄めやすいため、味噌のほうが量の管理をしやすく、先に試す家庭が多い傾向にあります。[味噌の離乳食での使い方](https://jozo-navi.jp/miso/miso-rinyushoku-itsukara-guide/)もあわせて参考にしてください。

Q3: 薄口醤油と濃口醤油、離乳食にはどちらがよいですか?

「薄口=薄味」というイメージとは逆に、薄口醤油は濃口醤油より塩分が高い傾向にあります。離乳食には、家庭でふだん使っている濃口醤油をごく少量から使う方法がシンプルでおすすめです。

Q4: だし入り醤油や白だしを使ってもよいですか?

だし醤油や白だしは醤油自体を薄めている分、塩分をやや抑えやすい選択肢です。ただし製品によって塩分濃度が異なるため、必ずラベルの食塩相当量を確認してから使ってください。

Q5: 醤油アレルギーは心配しなくてよいですか?

醤油には大豆と小麦の両方が含まれるため、アレルギーへの配慮は味噌以上に重要です。発酵・熟成によってアレルゲンが低減するとされる報告もありますが、個々のお子さんの安全を保証するものではないため、心配な場合は医師に相談のうえ、初めては少量・単独で試してください。

Q6: 醤油を使わずに味付けする方法はありますか?

だし(昆布・かつお節)や野菜そのものの甘み、少量の油分だけでも十分に風味が出ます。離乳食初期・中期は無理に調味料を使わず、素材の味を生かすことが基本です。

Q7: 醤油の1日の目安量を超えてしまった場合はどうすればよいですか?

1回だけ目安量を多少超えた程度であれば、次の食事や翌日の塩分を控えめにして帳尻を合わせれば問題ないことがほとんどです。頻繁に超えるようであれば、計量方法を見直すか、だしで薄める工夫を取り入れてください。

まとめ:醤油を離乳食で使うときのポイント

  • 醤油大さじ1杯の塩分は約2.6gで、赤ちゃんの1日の食塩相当量の目安(1.5g)を超える
  • しっかりとした量での使用開始は離乳後期(生後9〜11か月頃)が目安、味噌よりワンテンポ遅らせるのが一般的
  • 「薄口=薄味」ではなく、薄口醤油のほうが塩分は高い。離乳食には家庭の濃口醤油をごく少量から使うのがシンプル
  • 醤油には大豆と小麦の両方が含まれるため、初めては少量・単独で、心配な場合は医師に相談する
  • だし醤油やスポイトを活用すると、少量の計量がぐっと楽になる

醤油の量に自信が持てるようになったら、だし醤油の作り方を参考に、家庭で塩分を調整しただし醤油をストックしておくのもおすすめです。味噌の離乳食デビューについては味噌は離乳食でいつから使える?でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

この記事は醸造ナビ編集部が執筆しました。醸造ナビは発酵・醸造業界のキャリア情報と発酵食品の科学に特化した専門メディアです。

参考情報

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
  • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
  • 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」(こいくちしょうゆ・うすくちしょうゆ)
  • 日本ベビーフード協議会「ベビーフードの規格基準」第VI版(2024年9月)
  • 醤油醸造メーカー公表資料(発酵によるアレルゲン低減に関する情報、2026年9月時点)




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