最終更新: 2026-10-04
秋の仕込みシーズンが本格化するなか、今週の発酵・醸造業界では老舗の看板商品を支える原料の初商品化や、大学との共同研究による新しい製麹技術の発表が相次いだ。あわせて10月1日の「醤油の日」にちなんだ企画や、北海道で開幕した味噌の祭典も話題となった。
味噌・醤油蔵
京都一の傳、看板商品「蔵みそ漬」を支える西京白味噌を初商品化
PR TIMES(京都一の傳)が報じたところによると、京都の西京漬け専門店「一の傳」が、看板商品「蔵みそ漬」の味を支えてきた西京白味噌を、特注品として初めて単体で商品化し、2026年10月1日より新発売したことが明らかになりました。
西京白味噌は、米麹の割合を多くして短期間で仕込む甘口の白味噌で、西京漬けや西京焼きのほか、味噌汁や和え物、ドレッシングなど幅広い料理に活用できるといいます。これまで自社製品の「隠し味」として非公開だった原料を単体で商品化する動きは、老舗が長年培った発酵技術を直接消費者に届ける試みとして注目されます。白味噌と赤味噌の製法や味の違いについては「白味噌と赤味噌の違いを徹底比較|製法・味・使い分けまで解説」でも詳しく解説しています。
(情報元:PR TIMES・京都一の傳)
ヤマモリ、「醤油の日」に合わせ食品開発展2026で業務用付加価値しょうゆを提案
PR TIMES(ヤマモリ株式会社)が報じたところによると、醤油醸造と130余年向き合い続けてきたヤマモリが、10月1日の「醤油の日」にあわせて、2026年10月14〜16日に東京ビッグサイトで開催される「食品開発展2026」で業務用の付加価値しょうゆシリーズを提案することが明らかになりました。香り・色・旨みに特徴を持たせた付加価値しょうゆは現在6種類展開されているといいます。
「醤油の日」は日本醤油協会など関連団体が2002年に制定したもので、醤油の価値を再認識し伝統技術を次世代へつなぐことを目的としています。醤油メーカーが業務用市場に向けて差別化商品を打ち出す動きは、醤油そのものの製法を理解しておくとより読み解きやすくなります。醤油がどのような工程でつくられるかは「醤油の製造工程を徹底解説|原料から火入れまで全6段階の仕組み」で解説しています。
(情報元:PR TIMES・ヤマモリ株式会社)
醸造技術・研究
月桂冠と大阪大学、3Dプリント麹を用いた清酒醸造に成功
マイナビニュース(TechPlus)が報じたところによると、大阪大学大学院工学研究科の研究グループと月桂冠総合研究所の共同研究チームが、麹菌と米粉ペーストを混ぜた「バイオインク」を3Dプリンターで造形し、構造の違いによって麹菌の代謝活性を調節できる新技術を確立したことが明らかになりました。造形した「3Dプリント麹」を用いた小規模な清酒醸造試験では、発酵が進行してアルコール度数約13%に達し、構造の違いによってグルコースやグルタミン酸の生成量、香気成分にも違いが見られたといいます。この研究成果は、2026年9月15〜17日に北海道大学で開催された日本農芸化学会第78回大会で発表されました。
麹の造形構造によって酵素の働き方や代謝が変わるという知見は、麹菌がどのように酵素を生み出し発酵を進めているかという基礎を理解しておくとより深く読み解けます。麹の酵素の種類や働きについては「麹の酵素とは?種類・働き・醸造での役割をわかりやすく解説」で解説しています。3Dプリント技術を製麹に応用する試みは、将来的に新しい食材や香味設計への応用が期待される分野として、今後も研究の進展が注目されます。
(情報元:マイナビニュース・月桂冠)
ヤヱガキ酒造、伝統の「蓋麹法」と現代技術を融合させた純米大吟醸を特集
Infoseekが報じたところによると、兵庫・姫路のヤヱガキ酒造が、山田錦を用いて伝統的な「蓋麹法」で仕込む純米大吟醸の酒造りを特集企画で紹介されたことが明らかになりました。同蔵では機械による大量生産ではなく、杜氏や蔵人が人の感覚で温度や麹の状態を見極めながら仕込む手法を継続しているといいます。
蓋麹法は、小さな蓋(麹箱)に麹を小分けして盛り、温度・湿度をきめ細かく管理しながら麹菌を育てる伝統的な製麹技術で、機械製麹に比べて手間がかかる一方、麹菌の状態をより精密に見極められる利点があるとされます。杜氏という仕事がどのような道筋でなれるものかについては「杜氏になるには?未経験からのキャリアパスと必要な資格・年収を解説」で解説しています。老舗蔵が伝統技法を軸に品質を追求する姿勢は、効率化が進む醸造業界のなかでも変わらない価値として注目されます。
(情報元:Infoseek)
業界ニュース
日本最大級の味噌の祭典「NIPPON味噌道中2026」、北海道3会場で開幕
PR TIMES(株式会社ドットミソ)が報じたところによると、日本最大級の味噌だけの祭典「NIPPON味噌道中2026」が2026年10月3日に開幕し、全国15蔵以上の味噌蔵元本人が北海道に集結したことが明らかになりました。会場は江別・蔦屋書店、大丸札幌店、函館・蔦屋書店(初開催)の3会場とオンラインで、2026年12月6日まで開催されるといいます。蔵元自らが講師を務める味噌づくりワークショップも予定されており、味噌を「買う」ものから「出会う」ものへと捉え直す狙いがあるとされています。
全国の蔵元が一堂に集まり味噌の味わいの違いを直接伝えるイベントは、産地や蔵ごとの個性を知る好機になります。味噌の原料配合や色・味による分類については「味噌の種類と違いを徹底解説|原料・色・味・地域別の特徴と選び方」で詳しく解説しています。
(情報元:PR TIMES・株式会社ドットミソ)
今週の発酵・醸造業界まとめ
| カテゴリ | 主なトピック | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 味噌・醤油蔵 | 京都一の傳が西京白味噌を初商品化 | 看板商品を支えてきた原料を単体商品として公開 |
| 味噌・醤油蔵 | ヤマモリが醤油の日に業務用付加価値しょうゆを提案 | 130余年の醸造技術を業務用市場向けに展開 |
| 醸造技術・研究 | 月桂冠と阪大が3Dプリント麹で清酒醸造に成功 | 構造設計により麹菌の代謝活性を調節する新技術 |
| 醸造技術・研究 | ヤヱガキ酒造の蓋麹法による純米大吟醸が特集 | 機械化が進むなかでも人の感覚に基づく伝統技法を継続 |
| 業界ニュース | 「NIPPON味噌道中2026」が北海道で開幕 | 全国15蔵以上の蔵元が集結、味噌を「出会う」ものへ |
今週は、老舗の看板商品を支えてきた原料を初めて単体商品化する動きや、醤油の日にあわせた業務用市場向けの企画発表など、各蔵元が長年培った技術を新しい形で市場に届ける取り組みが目立った。
一方で、大阪大学と月桂冠による3Dプリント麹の研究成果は、伝統的な製麹技術にテクノロジーを組み合わせる新しい方向性を示した。ヤヱガキ酒造の蓋麹法のように人の感覚に基づく伝統技法が今も現役であることと合わせて、発酵・醸造の世界が「伝統」と「革新」の両輪で進んでいることがうかがえる一週間だった。
来週以降も、北海道で始まった「NIPPON味噌道中2026」の広がりや、秋の仕込みシーズン本番を迎える各地の蔵の動向に引き続き注目していきます。
参考記事
- PR TIMES(京都一の傳)「看板商品『蔵みそ漬』の味を支える西京白味噌を初めて商品化。京都一の傳、特注の『西京白味噌』を明日10月1日より新発売」(2026-09-30)
- PR TIMES(ヤマモリ株式会社)「【10月1日は醤油の日】醤油の醸造と向き合い続けて130余年―ヤマモリ『食品開発展2026』で業務用付加価値しょうゆを提案」(2026-10-01)
- マイナビニュース(TechPlus)「月桂冠と阪大、『3Dプリント麹』用いた清酒醸造に成功 新食材創出に期待」(2026-10-02)
- 月桂冠「大阪大学と月桂冠が共同研究 3Dプリンターで『麹』を造形し、清酒醸造に応用」
- Infoseek「伝統の技と現代の技術が融合!初心に帰る至高の純米大吟醸『ヤヱガキ酒造』」(2026-10-01)
- PR TIMES(株式会社ドットミソ)「日本最大級の味噌だけの祭典『NIPPON味噌道中2026』10月3日開幕。全国15蔵以上の味噌と蔵元本人が北海道へ、3会場とオンラインで12月6日まで」(2026-10-01)


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