最終更新: 2026-10-03
植物性乳酸菌とは、味噌・醤油・ぬか漬け・キムチなど植物性の食品の発酵に使われる乳酸菌の総称です。ヨーグルトやチーズに使われる動物性乳酸菌と違い、高い塩分濃度や酸性環境でも生育できる種類が多く、その耐性の高さから胃酸や胆汁の影響を受けにくく、生きたまま腸に届きやすいとされています。
植物性乳酸菌とは?基本をわかりやすく解説

植物性乳酸菌は、特定の1菌種を指す学術上の分類名ではなく、植物性食品の発酵環境から分離・利用される乳酸菌をまとめて呼ぶ呼び方です。食品業界で広く使われている呼称ですが、学術的な区分ではなく、由来となる食品によって便宜的に分けている点に注意してください。味噌・醤油の醸造に関わる耐塩性の乳酸菌(テトラジェノコッカス属など)や、ぬか漬け・キムチの発酵に関わる乳酸菌(ラクトバチルス属の一部など)が代表例です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 植物性食品(穀物・野菜・豆など)の発酵環境で生育・利用される乳酸菌の総称 |
| 由来 | 味噌・醤油の醸造もと、ぬか床、キムチ、漬物など |
| 生育環境 | 高塩分・酸性・低栄養など植物性発酵食品特有の厳しい環境 |
| 代表的な分類 | 耐塩性乳酸菌(味噌・醤油の醸造に関わる種類)、漬物由来の乳酸菌(ぬか漬け・キムチなど) |
乳酸菌とはの記事では乳酸菌全般の働きを解説しているので、乳酸菌そのものの基礎から確認したい場合はあわせて参照してください。
植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違い

同じ「乳酸菌」でも、由来となる食品と生育環境によって耐性や性質に差があります。
| 比較項目 | 植物性乳酸菌 | 動物性乳酸菌 |
|---|---|---|
| 主な由来 | 味噌・醤油・ぬか漬け・キムチなど植物性発酵食品 | ヨーグルト・チーズなど乳製品 |
| 栄養源 | 植物に含まれる糖類など限られた栄養 | 乳に含まれる乳糖 |
| 生育環境への耐性 | 高塩分・酸性など過酷な環境に強い種類が多い | 比較的環境の変化に弱く、胃酸・胆汁で死滅しやすい傾向 |
| 腸への到達性 | 生きたまま腸に届きやすい種類が多いとされる | 死滅しても菌体成分による整腸作用が報告されている種類もある |
この違いは、味噌・醤油は食塩濃度が10〜18%と高く、通常の乳酸菌は塩分3%程度でも生育が阻害されますが、味噌・醤油蔵では耐塩性乳酸菌(Tetragenococcus halophilusなど)が乳酸発酵を行い、酸味と味の締まりを生み出しています。乳酸菌の種類・違いの記事では、植物性・動物性を含めた乳酸菌の分類をより詳しく整理しています。
植物性乳酸菌を含む発酵食品の種類

植物性乳酸菌は、以下のような日本の伝統的な発酵食品に関わっています。
| 発酵食品 | 植物性乳酸菌の役割 | 関連記事 |
|---|---|---|
| 味噌 | 醸造初期の乳酸発酵でpHを下げ、酵母の働きを支える | [味噌麹とは](https://jozo-navi.jp/miso/miso-koji-towa/) |
| 醤油 | もろみの発酵過程で乳酸菌が風味形成に関わる | [醤油の製造工程](https://jozo-navi.jp/soy-sauce/shoyu-seizo-koutei/) |
| ぬか漬け | ぬか床内の乳酸発酵で酸味と保存性を生む | [ぬか漬けの始め方](https://jozo-navi.jp/pickles-fermentation/nukazuke-hajimekata/) |
| キムチ | 野菜に付着した乳酸菌が発酵を進め、酸味と風味を作る | [本格キムチの手作り方法](https://jozo-navi.jp/pickles-fermentation/honkaku-kimchi-tezukuri/) |
味噌・醤油のように塩分濃度が高い環境で発酵が進む食品ほど、耐塩性の高い植物性乳酸菌が主役になります。塩分と乳酸菌の働きの関係は、有胞子性乳酸菌とはの記事で解説している芽胞を作る乳酸菌の耐久戦略とも通じる部分があります。
植物性乳酸菌のメリット・魅力

研究では、植物性乳酸菌について次のような報告があります。
- 腸内環境改善:腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで便通などの腸内環境を整える働きが報告されている
- 生体利用性:胃酸・胆汁への耐性が高い種類が多く、生きたまま腸に到達しやすいとされる
- アレルギー関連の報告:IgE(アレルギー反応に関わる抗体)の産生を抑制する菌株が存在することが研究で示されており、花粉症などの症状緩和が期待されている例がある
これらは菌株ごとの研究結果であり、「植物性乳酸菌」全体に一律に当てはまるわけではありません。健康効果を具体的な数値やメカニズムとともに知りたい場合は、各食品メーカーが公開する菌株別の研究情報を確認することをおすすめします。乳酸菌の効果の記事でも、乳酸菌の働きに関する考え方を整理しています。
植物性乳酸菌の注意点
- 菌株によって報告されている効果が異なるため、「植物性乳酸菌だから必ず効く」と一律に捉えない
- 加熱調理した味噌汁や醤油などでは、調理の過程で菌の多くが死滅するが、菌体成分自体に整腸作用が期待できるとする報告もある
- 腸内環境への影響は体質や食生活によって個人差があるため、特定の症状の治療を目的とする場合は医師に相談する
関連記事: 腸活朝食ルーティン|味噌汁・納豆・甘酒の続け方と選び方
まとめ:植物性乳酸菌のポイント
- 植物性乳酸菌とは、味噌・醤油・ぬか漬け・キムチなど植物性食品の発酵に関わる乳酸菌の総称
- 動物性乳酸菌(ヨーグルトなど)と比べて塩分・酸性環境への耐性が高い種類が多く、生きて腸に届きやすいとされる
- 味噌・醤油の醸造では耐塩性の乳酸菌が発酵初期を支える重要な役割を担う
- 効果は菌株ごとの研究結果に基づくため、一律の断定は避け、根拠を確認して利用する
発酵食品に関わる乳酸菌をさらに知りたい方は、乳酸菌とはや乳酸菌の種類・違いの記事もあわせてご覧ください。
参考情報
- カネリョウ海藻「【腸活コラム】第1回 動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の違い」(https://www.kaneryo.co.jp/media/seaweed/6009/、確認日: 2026-10-03)
- ヤヱガキ醗酵技研「植物性乳酸菌とは?驚きの効果とおすすめ食品を徹底解説」(https://www.yaegaki.co.jp/bio/column/4191/、確認日: 2026-10-03)
- 日本乳酸菌学会誌「醤油醸造において優良なTetragenococcus halophilusを添加する意義」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslab/31/1/31_46/_pdf、確認日: 2026-10-03)


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